母親のジュリアは息子のまわりに透明な保護膜をはりめぐらしていたが、アンディはエリー・サイモンに励まされて、それを少しずつ剥がしはじめた。美術教師のメアリ・A・マッキビンもアンディの脱皮に一役買った。とはいえ、マッキビンは後年の回想で、アンディとはそれほど親しくなかったと語っている。
アンディの内気さは一種の防衛だと思った。真っ白な肌と奇妙なしみのせいで、自分は奇形(フリーク)だと思い込んでいたのである。エリーのように親しく声をかけてくる者には疑いの目を向けていた。悪たれのガキどもがはやしたてる現実の世界は、アンディにとって戦場だった。そんな現実から逃れるため映画スターの世界に遊び、自分もいつか