ジュリアには絵の才能があり、やがて息子たちは母親の素朴なスタイルを真似するようになった。ポールの息子でやはり絵描きになっているジェイミーを指してジョンはいう。「うちの家族はみんな絵がうまい。この才能は母から受け継いだんだ」アンディが絵を描きはじめたのもごく自然なことだった。ジュリアは喜んだ。紙人形が大好きなアンディを他人は変わり者だというかもしれないが、ジュリアにとっては、息子の絵の才能の方がずっと重要だった。数年とたたないうちに、アンディは近所の人びとの似顔絵を描いてそれを売り、小遣い稼ぎをするようになった。
そんなにまでして金を稼いだのは、映画雑誌を買うのと、母親が連れて行ってくれない昼間の映画代を捻出するためだった。スケッチより何より、映画は息をするのと同じくらい大切なものだった。
参考文献/「伝記 ウォーホル パーティのあとの孤独」フレッド・ローレンス・ガイルズ著 野中邦子 訳